第16章 猫王子と怪我人
『と、いう事があったんだよはゆるたん』
はゆる「…あ、そう」
『…冷たくない?』
はゆる「それより、何でそれを私に言うん?川崎さんに言えばええやろ?いつもそうしとるんやし」
『だって奈央は赤司の手先だもん。赤司の言いなりだもん絶対ヤダ』
はゆる「私だってのそんなピンクい話聞くの嫌や。きしょい」
『ねぇはゆるちゃん。言葉の暴力って知ってる?』
昼休み、バレー部のミーティングがあったからご飯は部室で食べている。ミーティングは早く終わり、今でははゆると話していた。
はゆる「要するに、赤司君が今まで以上に優しいって思たんやろ?それを赤司君はいつもと変わらへんて言うた」
『Yes!』
はゆる「アンタにも、乙女フィルターがあったんやなぁ」
『…何それ?』
はゆる「好きになった相手が良く見えるっちゅーやつや。アンタは今赤司君をそのフィルター越しに見とるんや」
『は、ははは?何言ってんのはゆる。あたしが赤司を好きなわけ…』
はゆる「」
『?』
はゆる「…ずっと言いたかったんやけどな。アンタ赤司君の事ちゃんと考える言うて、ホンマに考えとるんか?が赤司君の事を見ようとしとるんは分かる。せやけど、アンタは心のどこかで赤司君を好きになる事はあり得へん…そう考えてへん?」
ドキリと心臓が鳴った。そうは思っていなくてもそれは表面上の話で、心の底にはそう考えている自分がいたような気がした。
はゆる「アンタと赤司君の事は私にはよう分からへん。私、の事が大好きや」
『…は?ちょ、いきなり何言って…』
はゆる「大好きやからこそ、には幸せになってほしい。本当は赤司君の事をもっとちゃんと調べてにふさわしい相手か見極めたいんやけど、怖くて出来へんのや。せやけどが赤司君の事信じとるのは分かる。せやから、赤司君にならを任せられる」
『はゆる…』
はゆる「って…私らには珍しく真面目な話したな。そろそろ戻るかー?アンタ松葉杖やから早よ行動せなあかんしな」
はゆるの言葉はあたしの心にスッと入ってきた。もう一度、ちゃんと考えてみよう。