第15章 猫王子と修学旅行
赤司side
あの事件から3日経った。部活が終わり次第、すぐに病院に向かう。は起きていた。父親と母親に会釈をすると、に声をかける。
「」
『…赤司、か。久しぶりだね』
「そうだな」
『修学旅行、どうなった?』
「一応続けられたが、皆そんな気分ではなかったからな。最終日はお通夜状態だったよ」
『そっか。…お父さん、お母さん。ごめんけど席、外してくれない?』
の両親は黙って席を外した。元々個室だったため、この空間には僕との2人になる。
『真田麗華は、どうなった?』
「警察に連行されたよ。それまでに洛山の生徒から何か言われたようで取り乱していたけど、事情聴取の途中ではすっかり大人しくなって、洗いざらい供述したようだ」
『何て言われたの?』
「は洛山生にとって大事な友達、仲間だって。それが気に食わなかったらしい」
『そっか。皆、心配してくれてたんだね』
「を探しに行くとき、僕は皆に笑顔で迎えてくれるように頼んだ。は気を失っていたが、皆約束を守って笑っておかえりって言ってたよ。まぁ、涙や鼻水でぐしゃぐしゃになった汚い笑顔だったがな」
『…そっか。あたしも見たかったな』
はベッドに座ったまま、布団をギュッと握った。
「真田麗華の事だが。警察での供述から赤司家と真田家の繋がりを見つけた。もあの女から聞いて知っていると思うが、政略結婚の事だ。もちろん破棄させるように父に頼んだよ。父もそんな女を赤司家の女として迎える気は無くなったらしく、白紙に戻してくれた」
『…真田麗華はそれで納得したわけ?』
「さぁ。今となっては聞くに聞けないからね」
『…は?』
「僕が転校させた。はもちろん、川崎や飯塚、田中に真田…洛山生は顔を見たくないだろうからね。僕だってそうだ」
『…おー怖っ』
怖いと言いながらも、の口調は穏やかだった。多分、こうなる事を少なからず分かっていたようだ。