第15章 猫王子と修学旅行
赤司side
どうやら僕の努力は無駄ではなかったようだ。確実に前に進んでいるという自信が湧いてきた。うん、いけるぞ僕。
『でさぁ、赤司殿』
「…何だい、改まって」
『いやね?赤司いい加減友達作りなよ。せっかくの修学旅行だし、いい機会じゃん』
「だから僕は…」
『まだ友達いらないって言うつもり?』
僕は何も言い返せなかった。以前の僕なら即いらないと答えていただろう。だけど、今は違う。の周りには友人で溢れ返っている。少し、本当に少しだけど、羨ましいと思ってしまった。
「…いや」
『ふふっ…そっか。うん、良かった』
「どうしてそんなにが嬉しそうなんだ?」
『嬉しいよ、もちろん。好きかどうかは別として、やっぱり赤司はあたしにとって大事な人だからさ、笑っててほしいもん。無愛想な王子でも』
「…無愛想は余計だ」
『ま、何にせよ赤司が変わってくれてよかった。それで、策はあるの?友達作ろう大作戦の』
「何だその幼稚そうな作戦名は。だが…今の所ないな。今まで友人なんていなかったから、どうやって作ればいいかわからない」
『何でドヤ顔なんだよ!はっ倒すぞ!!けど…まぁ素直になった事だし、あたしに任せとけ!!!』
笑顔で言う。なぜかその顔はとても頼もしく見えた。だけど、何か悔しかった。
「…余計に心配だ」
『んだとコラ!!!』
ギャーギャー喚いている。そのが大丈夫だと言っただけなのに、なぜか本当に大丈夫だと心底思えた。