第15章 猫王子と修学旅行
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いやぁ、我ながら上出来の演技だったな~。でも多分、二度としない。演技だとしても、あんなぶりっ子演技じゃ全身の鳥肌総立ちしたもん!つーかコレ誰得。
それからあたし達赤司班(もちろん赤司が班長だから赤司班)は沖縄の町を見て回った。あたしが想像していたより、かなり都会だったりした。
そして今はホテルに着き、ご飯までの自由時間だった。とりあえず咽が乾いたあたしは、ロビーにある自販機までジュースを買いに来ていた。
そして見慣れた赤髪を見つけた。
『あれ?赤司じゃん。1人?』
「…か。1人だよ。男子は大部屋だから、煩くてかなわない」
『いいじゃん、大部屋。あたしら女子は2人1部屋だから騒げないよ。ま、奈央とだから良いんだけど』
「僕はそっちの方がいいよ。今日は眠れないだろうな」
『何で?一緒に遊べばいいじゃん』
「僕は煩いのが苦手なんだ」
『あたしも煩いよ?』
「は特別」
『…何それ』
赤司って、こんなヤツだったっけ?こんな片目瞑って(いわゆるウインクして)人差し指を口元にあてて、特別なんて言うキャラだったっけ!?
「…それだけ?」
『は?』
「いや、昔のだったらキモいって言ってたんだけど」
『あぁ、そんな事もあったね』
…ん?あれ?確かに、昔のあたしだったら王子モードの赤司に対して鳥肌立ってたじゃん、キモいって言ってたじゃん!それが何!?今のあたし何!?
「そうか…」
『…ニヤニヤすんな』
「そりゃニヤニヤもするさ。やっと僕の想いも報われそうだからね」
『はぁ!?まだわかんねーっつーの!!!ムカつく!赤司のくせにムカつくぅぅぅぅ!!!!』
「はいはい」
赤司は本当に上機嫌になった。そして、王子モードの赤司の言葉に気持ち悪いと思わなくなったまでは分かる。だけどなぜだか
体中の体温が一瞬だけ上がったような気がした。