第15章 猫王子と修学旅行
『いいよ、麗華ちゃん。一緒な班になろう。奈央も、良いよね』
女子生徒「ちょ、本気なん!?奈央、断るんや!」
奈央「…ウチは…ええよ、麗華入れても」
女子生徒「奈央!!!」
奈央「一番辛いはずのがええ言うたんや。ウチが我が儘言ってええわけない」
女子生徒「せやけど!2人が傷つくだけやで!?やったら…」
『うるせぇ!!!!!』
あたしは叫んだ。その場にいた女子だけでなく、この言い合いに気付いていなかった男子までも注目した。調度良い機会だ、今ここで言っておこう。
『いい加減にしろよ。このクラス全員、あたしの事かばってくれたじゃねぇか。あの時の思いはどこ行ったわけ?麗華ちゃんがやった事は確かにあたしは許せない。皆のその気持ちも否定するわけじゃない。だけど、今皆は自分が許してない事と同じ事をしてるんだよ?』
麗華「…もうええよ。それに何?偽善者ぶってるつもり?」
『麗華ちゃんだって、いつまで強がってるつもり?せっかく赤司に素直になれたんだから、今度はクラスメイトにも素直になってみたら?じゃないとアンタ、一生後悔する事になるよ』
麗華「…」
『それに皆も。皆がやってる事はいじめだっていう事に早く気付かないと大変な事になるよ。無意識って事が一番怖いから。…赤司、次の数学の時間、ノートよろしく』
「構わないが、どこか行くのか」
『気分が悪いから保健室いるよ。先生には言っておくから』
次の数学の時間は保健室で過ごした。次の休み時間に帰ってみると、皆があたしと麗華ちゃんに謝ってきた。どうやら分かってくれたらしい。
その時に麗華ちゃんがとんでもない問題発言をした。ぶっちゃけ班に入れてほしかった目的は、やっぱり赤司目当て。
しかしそこまで潔くカミングアウトした麗華ちゃんに、もう皆何も言えなくて麗華ちゃんの新しい個性として受け入れる事にしたらしい。
まだ壁は感じられるが、少しずつ消えていくといいな。そして奈央と麗華ちゃんの間にある分厚い壁も、いつかなくなるといいな。