第14章 猫王子と秋模様
そして土曜日。練習が終わったあたしは居残り練習をやめて、シャワーを浴び私服に着替えた。そしてその足でロビーへ向かう。そこに既に奴はいた。
『ごめん、赤司。遅くなった』
「まだ時間にはなっていない。それじゃあ、行くぞ」
『あ、うん』
赤司と2人で出掛けるのはこれが2回目。夏祭り以来だ。あの時とは違い、秋の夜の寒さに備えて防寒を施した服装だった。
「…お前が黙っていると気持ち悪いんだが」
『…あたしだってちょっとは罪悪感を感じてるんだよ。そこはスルーしろよ』
「罪悪感?なぜがそんなモノを感じる必要があるんだ?スルーなんて出来ないだろう」
『だって…赤司だって練習したかったのにさ、無理矢理付き合わせたわけだし…』
前を歩いていた赤司が立ち止まり振り返る。いつも制服姿しか見ていないため、私服姿の赤司をカッコいいって思ってしまった。
「僕が無理矢理付き合わされているのに黙っているわけないだろう。僕もちょうど欲しいものがあったし、こうしてと出掛ける事が出来るのは、正直嬉しいよ。何も心配する必要はない」
『…何それ。かっこつけてる』
「かっこいいだろう?」
『自分で言うな!!!減点100点ー!!』
「はははっ」
多分、赤司の言ってる事はあたしを慰めようとして言っているものじゃないと思う。だって今日の赤司、何か楽しそうだもん。
あたしは少しだけ走ると、赤司の隣に並んだ。さっきまで後ろにいたのは、申し訳ない気持ちがあったから。今はもうない。赤司が楽しもうとしてくれてるんだから、あたしもそう思わなければ、それこそ申し訳ない。
「ほら、行くぞポチ」
『うん!王子』
いろんな話をしていると、あっという間に大型スポーツ店に着いた。