第13章 猫王子と幼馴染
「ふざけるな。それはただのお前の我が儘だ。自分の気持ちを伝える事も出来ない臆病者が、僕に…俺に説教とはとんだご身分だな」
春「あぁそうだよ!これは俺の我が儘だ!だけどまだ出会って半年しか経ってないお前に何が分かる!俺の気持ちの何が分かる!」
「分からないな、分かりたくもない。それに、俺には関係ない」
春「だったら…」
「だが解せんな。臆病者のお前が、どうして俺に異見できる」
春「!お前は…お前はその立場だから何とでも言えるんだよ!」
「どの立場だ?伝えたと思うが、俺は一度にフラれている。それに、その時お前が怖気づいている恐怖も味わった」
に気持ちを伝えた時、確かに僕達は繋がりを絶った。それでも諦められなかったから僕は今、ここにいる。
「お前が言った事と同じように、俺だってにとって近すぎる関係になってしまった。アイツは多分、気持ちを伝えた今でも俺の事を王子としか認識してないだろう。だが俺は諦めない」
春「…んだよ…何だよそれ…俺だって…俺だって伝えれるモンなら伝えてぇよ!だけどアイツはそれを望んじゃいないんだ!」
「それは言い訳だ。そうやっていつまで逃げているつもりだ?まぁ、お前がそうである限り、俺には痛くもかゆくもなんともないがな」
春「…」
「それに、何だかんだ言ってお前が一番から逃げてるじゃないか。お前がと作って来た16年間がどれだけ薄いか、俺には手に取るように分かる」
春「…上等だ!俺だって…俺だってこの気持ち、伝えてやるよ!」
自分でライバルを作ってしまった気もするが、僕には関係ない。
「望むところだよ。それより、に気持ちを伝える前に、僕らにはやらなければいけない事がある」
春「…そうだな」
僕と新城は、重い腰をゆっくりと上げた。