第13章 猫王子と幼馴染
いつの間にかこの空気が皆に伝わり、辺りは静まり返り注目を浴びていた。誰も何も言葉を発しない。
春は前にもこんな事が1回だけあった。だけどそれはまだ子供だった時。今では凄みが増している。
一方赤司は普段の柔らかい空気とは一変、ピリピリした空気を纏うようになった。まるで別人のように。…一体どちらが本当の赤司なんだろう。いや、多分両方とも赤司なんだ。
春「お前、自分の事何だと思ってるんだ?神様だと思ってるつもりか?」
『ちょ、赤司…いたっ…い』
「神様だと?そんなもの存在しない。言っただろう、絶対は僕だと。神というものが存在していたとしても何も変わらない」
『痛っ…ねぇ赤司…春もやめなって』
春「今まではそう言えば誰でもペコペコしてきたんだろうけどな、今は違うんだよ。おぼっちゃま」
「…調子に乗るなよ」
『っ!い、た…い…』
春「お前こそな」
『痛、いって…言ってるだろうがぁぁぁぁぁ!!!!!』
ずっと抱きしめていた赤司の顎にアッパーを、ずっと見下ろしていた春のみぞおちにエルボーを入れた。小さな呻き声と同時に、2人は体を丸くした。
『いい加減にしろよてめーら。仲が悪いなら無理に仲良しこよししろなんて言わねーよ。けど限度ってモンがあるだろ。周り見てみろ、皆どうしていいか分からずに困ってんだよ。楽しいはずだった打ち上げが、お前らバカ2人のせいで台無しだよ。つーか何よりあたしに謝れ。お前らのせいで体は痛いし頭は痛いし、散々なんだよコノヤロー』
春「けど!…ならは俺と赤司、どっちがいいんだよ」
「それは僕も気になるな」
『…どっちも嫌に決まってるだろ。今のお前らなんて…大嫌いだよ』
奈央「ちょ、!!」
『ごめん、奈央。それに皆も。空気も雰囲気もぶち壊しちゃった。本当にごめん。こいつら2人の事は勘弁してやってくれないかな』
女子生徒「私達は何も…」
男子生徒「それにが悪いわけやない!」
『…ありがと。ごめん、あたしは帰るわ。皆も続けるなら時間には気を付けてね。あんまり遅くまで制服のまま騒いでたら、警察に捕まっちゃうよ』
春「…」
「…」
『…少し頭を冷やせ、バカ』
あたしは赤司や春、皆をその場に残して寮に帰った。