第11章 猫王子と文化祭
男性「は、はぁ!?お前が彼女の連れか?中学生は引っ込んでな」
「僕は高校生だが。それに…お前達、この地域の奴らじゃないだろう。修学旅行か何かか?」
男性「なっ!」
「僕が調べればどこの高校なのか一発で分かる。このまま引き下がらないなら…どうなるか分かるな」
男性「チッ…おい、行こうぜ」
男たちは逃げるように走って行った。今思えば、確かに標準語だったな。ていうか高校生だったんだ。
「大丈夫か?」
『あ、うん…ごめん』
「どうしてが謝るんだ」
『あたしがはぐれちゃったから』
「…とりあえずどこかに座ろう」
歩こうとした時、足がすくんで動かなかった。気が付かなかったけど、引っ張られた腕が震えている。情けないな、あたしは。
それに気付いた赤司が、何も言わず腕を引っ張ってくれる。あの男たちとは違い、優しく。
少し歩くと神社の境内に着いた。近くに自販機があり、赤司がジュースを奢ってくれた。
『ありがと』
「構わないよ」
『お金、あとで返すね』
「…。少し話してもいいか?」
『…うん』
昨日と同じ、真剣な赤司だった。今度はあたしも、後悔しない言葉を伝えよう。
「僕の勝手で悪いが、この気持ちに嘘はつけない。やはり僕はが好きだよ」
『…だけどあたしは…』
「だからこそ聞いてほしい。たった1日ではあるが、僕はへのこの想いを消そうと努力した。だが何度やっても消えなかった。そんな時、今日の約束を思い出した」
『…うん』
赤司は真っ直ぐに、あの綺麗なオッドアイの両目であたしを見てくれる。だからあたしも真っ直ぐに赤司を見つめた。