第11章 猫王子と文化祭
全員「お疲れ様でした!!!!」
どうにか練習を終え、皆が止める中体育館に残った。夏とは違い、空気が冷えてきたこの時期に汗をかいたままだと風邪を引くのだろうか。なんてボーっと考えるものの、頭の片隅には赤司がちらついている。
『これから…どうしようかな…』
誰もいない体育館で独り言をつぶやいてみる。反響して自分の声が響くのが気持ちいい。
赤司とは同じクラスなため、嫌でも会うことになる。だけど多分、今まで通りには出来ない。
赤司の気持ちは断ったが、関わりを切りたいとは思えない。だけど今まで通りに王子として接したいと思うのは、あたしの我が儘なのでは、と考えてしまう。
『…っくしゅん!ずび…帰ろう』
さすがに汗が完全に冷えると寒い。シャワーを浴び寮に戻る。部屋に入るとジャスティスが迎えてくれた。
「ちゅっちゅー!」
『ありがとう、ジャス。そうだよね、あたしが悩んでも仕方ないよね。よし、寝よう!』
ジャスをケージに戻し、睡眠不足を解消しようと思っていたら、奈央からメールが来ている事に気付いた。
『…忘れてたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
奈央からのメールには、今日開催される最後の夏祭りの詳細。そうだ、昨日赤司誘ってたんだ…
「ちゅ?」
『ジャスぅぅぅぅぅ…どうしよう…赤司来ないよね?昨日の今日だもんね?でも来た時どうしよう…いやでも普通フラれた相手と出掛けようなんて思うか?』
また新たな問題が出来てしまった。しかも今度はリミット付き。
約束は守りたい。あたしから誘ったわけだし。
けど赤司はきっと来ない。逆の立場なら多分、行かないから。
あたしは悩みに悩みまくって、決めた。