第10章 猫王子と解決
『ねぇ赤司』
「…何だ」
『これからどうしよっか。寮の開錠時間まで約5時間あるよ?』
まだドキドキしているが、平然を装ってみた。それにしてもは眠そうだ。
「眠いのか」
『ふわぁ…まぁね~。ちょっと動きすぎたし、今日はずっと歩いてたから~』
「そうか。だがこんな所で寝ては風邪をひいてしまう。まだ暑いと言ってももう9月だ。夜は冷える」
『そうなんだよ~。風邪ひいて部活出れないとか死んだ方がマシだしね~。でも大丈夫~。バレー部の部室にブランケットあるから使おうよ~』
「…そうだな。無いよりは良い」
本当に眠いようで、足取りはおぼつかなく、さっきの会話も語尾が全て伸びていた。部室に入ったは1枚の普通のモノより大きいブランケットを持ってきた。
『ステージにマットあったからその上で寝よ~』
「あぁ」
いつもバレー部が使用しているというマットを敷き、その上にがダイブする。
「怪我するぞ」
『こんなんであたしは怪我しないよ~。それより王子、早く~』
「…は?」
『…は?』
「僕はこっちで寝るよ」
『はぁ~?それじゃあ布団無いじゃん~。風邪ひくよ~』
「僕は風邪なんてひかない」
『はいはい~。そんなん良いから早くこっち来てよ~』
「!!!」
に手を引かれ同じマットの上、布団の中に入る。の体温で布団の中は少し、温かかった。
『じゃあおやすみ~』
「…お前は本当に危機感というものを覚えろ。ったく…おやすみ」
寝てしまえば問題ないと思い目を瞑るが、なかなか寝付けなかった。静かな空間では嫌でもの寝息を感じ、同じ空間にいるため嫌でもの体温を感じる。
しかしこの空間から抜けようともの手がしっかりと僕の服を握っているから身動きが取れない。
ゆっくりと眼をあけると、そこにはあどけない顔ですやすや眠るがいる。精神的にかなりダメージを受けている。僕が守る、そう思いながら頭を撫でる。
『ん…王子…』
寝言で僕の名前を呼ぶ。可愛い。クスリと笑うと、頭を撫で続けた。
『王子…ハゲ~』
ムカついたから軽くでこピンをしてやった。