第9章 猫王子といじめ
赤司side
少し時間は遡る。
教室に着くと、が見た光景と同じものがあった。あいつがバレーを何よりも大事にしていたのは、知り合いなら誰もが分かっていたはずだ。…いや、だからこそか。
が大事にしているものだからこそ、こういう奴は壊したくなるのだろう。
月島「赤司君、おはよう!」
「…月島、お前は何とも思ってないのか」
月島「何が?あ、ちゃんの事?酷いなぁ、あれ大事なモンなんやろ?けど、そこまで相手を怒らせるちゃんも自業自得かもしれへんなぁ」
「何だと?」
月島「あ、勘違いせぇへんでな?私はちゃんの味方やで!一緒に犯人捜すねん!」
僕の中に違和感が生まれた。さっきの台詞、多分冗談とかじゃない。表情が、本物だった。一度は可能性を否定したが、まさか本当に…
『おっはよー!』
問いただそうと思った瞬間、が明るい声を出しながらやって来た。なぜ今日に限って朝練を休んだんだ、バカ犬…
『誰だって聞いてんだよ!!!!!!』
の怒りに溢れた声が響く。誰も声を発する事は出来ないでいた。
『…ふざけんな…あれほど直接来いっつったよな。それをコソコソと…あげくあたしの大事なモン壊して…なぁ、これで満足か!?満足しただろ!?』
奈央「ちょ、落ち着いて!ここに犯人がいるとは…」
『いるに決まってんだろ!?こんだけ人が入り乱れてるんだ、どうせいるんだろ!?なぁ、赤司!!!!』
は僕に同意を求めてきた。
「…あぁ。こんなに人がいては誰がやったかは検討はつかない。それにここまで陰湿で幼稚な犯人だ、の取り乱した姿が見たいに決まっている。ここにいる事は間違いない」
『というわけだ。あたしは今までの事は笑って許してきた。だけど今回は別。お前はあたしを怒らせた。絶対に見つけてやる。…ただで済むと思うなよ』
はその日、教室には帰ってこなかった。