第9章 猫王子といじめ
いつものように自主練を行う。…だけどいまいち集中出来ない。考える事は変わらない。
は、大丈夫なのだろうか。
少し早めに練習を切り上げ、女子バレー部が活動している体育館を通ってみた。さすがに靴もアレなうえ、精神的にダメージは大きい。いないと思っていたが、いた。
「…」
『ハァっハァっ…チッ…』
僕はもう体育館には入っている。多分、の視界にも入ってる。それでもひたすらアタックを撃ち続けている。僕はそれを待つことに決めた。
そして時刻は12時を回る。あれから2時間、休む暇もなく打ち続けていた。もう寮の施錠時間は過ぎている。
『ハァっハァっ…時間、やばいんじゃないの』
「…凄い集中力だな」
『…答えになってないっつーの』
「落ち着いたか」
『…まぁね。我ながら情けないって反省してた。あそこで怒ればそれこそ犯人のツボなのに』
は体育館に散らばったボールを1つ1つ拾う。彼女の足元には新しい靴があった。
「シューズ、どうしたんだ?」
『授業サボって隣町まで買いに行ったよ。もうすぐ買い換えなきゃって思ってたとこだったし』
「…僕のと似てるな」
『あ、本当だ。同じメーカーだから競技違っても似たような種類出すのかもね』
淡々と答える。明らかに声に覇気がない。僕は自分の持っていたバスケットボールで近くのゴールにシュートを撃つ。リングに当たることなく入った。
『あの後どうなった?教室』
「…学年集会が開かれたよ。そして各クラスで白紙を配り、心当たりがある、自分がやったという人は書くように言われた。…もちろん誰もいなかったけどね」
『そりゃそうでしょ。それで見つかれば苦労しないっつーの』
大半のボールはかごの中に入っている。もう少しすれば終わるだろう。