第2章 猫王子と出会う
赤司君はそのまま去っていった。姿が見えなくなると、奈央と麗華ちゃんは今日1番の深い安堵の混じった溜息を吐いた。そして、はたかれた。
『いだっ!ハゲそうだよあたしゃ…』
奈央「ウチらの方がハゲるわ!何なんアンタ!怖いモノ知らずか!ホンマ心臓に悪いわ!」
『何で?』
奈央「…ほうか、そう言えばアンタ昨日おらへんかったな」
奈央が丁寧に話してくれたのは、昨日の出来事。どうやら赤司君は新入生代表の挨拶を務めたらしく、その凛々しさと容姿もあって一躍の人気者になったそうだ。もちろん女の子から。
積極的な女の子はお近づきになりたいとのことで、すかさず赤司君の隣を争った。あたし達のクラスの女子は他クラスの派手目な女子に圧倒され、動けなかったとか。
用事があると言って帰ろうとする赤司君を女の子たちは必死に繋ぎ止め、足止めをする。その間にも次々と質問をしてくる女子。実にその時間、1時間。最初は困ったように笑っていた赤司君も、次第に笑顔が引きつってきたその時。
女生徒「きゃっ!?」
女生徒「ちょ、何!?どうしたの!?」
赤司君の腕に手を回していた女の子が急に転んだ。
「いい加減にしろ。僕は用事があると言っている。お前達のくだらない話のために1時間も無駄な時間を過ごした。その時間をどう返してくれるんだ?それすらも分からない奴は今後僕に近づくな。それを乱した者は親でも殺す」
と言ったらしい。
奈央「その瞬間空気氷ついてもうたわ。まあそのおかげで取り巻きは一気に消えたんやけどな。あの赤司君はおっかなかったなぁ~」
『え?それ当たり前の仕打ちじゃない?』
奈央「…は?」