第4章 はじめての気持ち
「ごめん、つい力入っちゃった」
徹は申し訳無さそうに腕を離す。
「行かなきゃ……」
「うん……」
お互い離れたくない気持ちがじわじわと伝わってくる。
「雪乃……愛してる……」
「私も……愛してる……」
私たちは再び抱き合い、触れ合うだけのキスをした。
家の前だという事も忘れ、私たちはしばらく抱き合っていた。
「寂しいけど、そろそろ行かなきゃだね。雪乃と離れたくないけど……、後で絶対連絡するから!」
「わかった、待ってるね♪」
最後にまたキスをして、徹は帰って行った。
私は徹が見えなくなるまで道路の真ん中で手を振っていた。
徹もまた、角を曲がるまで手を振ってくれた。
本当は最後の方、涙でよく見えてなかったんだけどね。
徹と付き合って、初めて人と離れるのがこんなに辛いことだと気付いた。
「自分がこんなに涙もろかったなんて、初めて知ったな……」
私は涙が乾くまでの間、きれいな星空を見上げることにした。