第4章 はじめての気持ち
「雪乃!!!!」
「やめてよ……、もう……」
私は耳を塞ぎその場にうずくまる。
「及川君……もう、やめて……」
「あの時みたいに、徹って……呼んでよ……」
「なに……言ってんの……?」
及川君のひと言に顔を上げる。
彼は今にも壊れそうな顔をしていた。
「あの時って……? 私は……夢で……」
「夢だと思ってるのは、雪乃だけだよ……?」
これも、夢なのだろうか?
私はほっぺたをつねってみる。
「痛い……」
及川君は私がつねった方の頬に優しく触れる。
「そんな事しなくても、これも夢じゃないよ」
及川君が触れている部分に熱が集まっていく。
「雪乃……またタコさんになってる……」
クスクスと上の方で笑う彼。
あの夢が、本当は夢じゃなかったとわかった今、私達は正真正銘の両思いになった。
「及川君……本当に……」
「と・お・る!!」
駄々っ子のように頬を膨らました姿でさえも、かっこいいと思ってしまうからズルい。