第2章 近くて遠い距離
学校が近くなってくると周りを歩く生徒の数も増え騒々しさも増してくる。
たった一週間休んだだけでも、なんだか別の世界へ来たような感覚に陥る。
ましてや、休む前に彼に担がれて運ばれたと言われれば、例え飛雄のついた嘘だったとしても他人の視線が気になる。
しかし、いくら周りの声に集中してもそのようなうわさ話や陰口のようなものは聞こえてこなかった。
校門を過ぎる頃には、意識のし過ぎで授業を受ける前から疲れたような気がする。
「はぁ~~」
私は誰にも聞こえないように小さなため息をついた。
自分が考えているほど、自分は他人から見られていなかったのだと痛感した。
それはそれでいいことなのだろうが……。