第7章 季節の変わり目
私は残りの文章を書き上げるべく、気合を入れ直した。
私が書き終わるのと、岩泉君が戻ってくるのはほぼ同時だった。
「アイツ、ここに来るってよ」
「アイツ?」
急に言われたので、すぐには「アイツ」が誰なのかわからなかった。
「及川」
「徹!?」
「雪乃!!」
私が驚くのと、徹が入ってきたのはほぼ同時。
徹はすぐに私を抱きしめた。岩泉君が居るのに……。
「ちょっ、徹、くるしっ……」
「ゴメン、てか、なんで二人きりな訳? 他の人は?」
「二人とも用事があるんだとよ」
「雪乃、岩ちゃんに変な事されなかった???」
徹は私の全身をぐるぐると見まわした。
「して……は、ない」
「”は”って何!? ”は”って!!?」
私は徹と岩泉君の顔を交互に見た。
先ほどの事を忘れろと言ったはずの岩泉君が、わざわざ徹が疑うような言い方をするなんて思っていなかった。
「これだよ」
「へ?」
「俺が書くより影山が書いた方が見やすいだろって、企画書全部頼んじまった」
徹の前で、ヒラヒラと企画書を見せる。
「ホントに……それだけ……?」
徹は、どちらともなく問いかける。