第5章 〈異能〉
だが、当然彼は嫌そうな顔。
「は?実験台?
ンなもん手前らで勝手にやればいいじゃねェか。
何で其処に俺を巻き込もうとするんだ」
「「面白そうだから」」
「だが断る。
どうせ試して直ぐに解除するんだろ?
だったらそこら辺の下級構成員ででも試すんだな。
つーか手前ら綺麗にハモりすぎだろ。ムカつく」
太宰さんと後ろを向き、顔を近づけて小さな声で私は話し掛けた。
「中也さん駄目そうですね。
どうします?
無理矢理試そうとしたら返り討ちに遭いそうな気がしますけど」
「そうだなぁ…
中也は結構強いからね。
止めとくかい?一応他に伝は有るんだが」
「其れなら他の人にした方が安全ですよね。
そうします」
くるりと中也さんの方に向き直ると、其処に彼はもう居なかった。
「…いつの間に?!」