第5章 〈異能〉
「そういえば、誰で能力を試すのかは決めてあるのかい?」
「私がそんな事まで考えを巡らせているとでもお思いで?」
「愚問だったね」
私の辞書に『計画』の文字は無い。多分。
縋るような目で太宰さんを見つめる。
「太宰さんの知り合いに誰か適任の方はいませんか?」
「さりげなく私の知り合いを犠牲にしようとしてるよね、君は」
「だって太宰さん、誰かに悪戯とかするの好きでしょう?
其のノリでやっちゃいましょうよ」
ね?ね?と言い続けてたら、遂に太宰さんが折れてくれた。
「…じゃあ、中也なんてどうだい?」
そう云った太宰さんは、嬉々とした表情を浮かべていて。