第3章 〈其の手を〉
コホン、と咳払いをした首領さん。
既に先程持っていたドレスは手放している。
そして引き攣った笑みを浮かべながら話し始めた。
「それで、何の用なのかな?」
「能力者と思われる人を拾ッ…連れて来たので首領に一度会って貰おうかと思いまして」
嗚呼、中也さん居たんだ。
中也さんの横に居ると、身長の差が…
そんな事を考えていたら中也さんに睨まれた。
エスパーか。
「ふぅん。
良いんじゃないかい?
彼女の名は?」
「記憶が無くなっていて憶えていないそうです。
…仮の名前を付けてくれ、と云われたので今は暁と呼んでいますが」
「そうかそうか。
じゃあ暁ちゃん、取り敢えずは太宰君の下につくといい。
彼から学べる事は沢山あるだろう」
「…はい」
…多分マフィアから逃れる術はもう無いのだろう。
今も、此れからも。
_____こうして、私のマフィア生活がスタートしたのでした。