第3章 〈其の手を〉
あの2人が私の名前を考え始めて軽く20分程経過しただろうか。
そろそろ車の振動で眠くなってきた。
嗚呼、眠い。
此の儘寝てしまいたい……
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「そうだ!暁なんてどうだい?!暁って!」
「ファッ!」
狭い車内で大声出さないで。
お陰で気持ちよく寝ていたのに飛び起きてしまった。
「其れでいいんじゃねェか。此奴にも合ってるし」
怠そうな声で肯定を告げる中也さん。
真逆、運転しながらずっと名前を考えてくれていたのか。
…そりゃあ怠いだろうな。
「私の名前、結局如何なったの?」
「中也と色々考えたんだが、暁にしたよ。
どうだい?君に合っていると思うんだけど」
暁、かあ。
確かに何となくしっくりくるような。
「名前、考えてくれてありがとうございました。
此れからは暁ッて呼んでください」
こうして私の新たな名前が誕生したのであった。