第2章 飴玉と名波さん。
私は幸せ味の飴玉を無理矢理名波さんの口に入れた。
名波さんは驚いていたが、幸せ味の飴玉をじっくり舐めていた。
すると、名波さんの表情はだんだん泣きだしそうな顔になっていた。ついにはわんわんと泣き出してしまった。私は、黙って名波さんの頭を撫でていた。
名波さんは泣きながら言った。
「ずっと……ずっと、泣くのを堪えてた。
あいつらに泣く面見せたくないから……でも。家にいても泣くのを自然と堪えてた。
泣けなかった。悔しかったし、弱くないって……私、強い奴だった。ずっと……。
う、うっ…何もできなくて……………わかんないから…。なけなくて…、ずっとずっと笑っていた。うそついて笑ってた…」
哀しかったろうな。
虚しかっただろうな。
悔しかっただろうな。
名波さんは顔を上げて、言った。
「今、泣ける事が幸せ。
あと、
話聞いてくれる人がいて、私見つけてくれる人に会えて幸せ。」