第10章 別れ
家に帰ってすぐ喪服(白シャツに黒スーツ)に着替えて病院へ向かう。
途中まで彼氏が迎えに来てくれたので、バイクの後ろに乗せてもらって病院まで行った。
ナース「こんにちわ。皆さんデイルームでお待ちです」
入り口にいたナースさんに案内されると、そこには私と彼氏以外みんな来ていた。
妹「凪姉ちゃ〜ん♪」
叔父「来たか〜なっちゃん!」
凪「おぉ、お待たせ」
母「大丈夫やったか?身体何もなかった?」
凪「うん、全然大丈夫。何事もなく終わったで」
母「海くんありがとう、凪連れて来てくれて」
彼氏「いえいえ、とんでもないです」
暫く雑談していると、若い夫婦が前を通った。
その時、お母さんが押している赤ちゃんを乗せたカートに貼ってある赤ちゃんが産まれた日を見てみると、私の赤ちゃんが産まれた日と同じだった。
凪(あの子…オレんとこの子と同じ日やな……)(ポロッ
だいぶ吹っ切れたつもりだったのに、まだダメでした。
泣いている私に彼氏が「外行くか?」と言ってきたけど断った。
そうしてる間にも呼ばれるかもしれないし。
暫くして別室に通され、再び赤ちゃんと対面。
小さな棺に綺麗に納められていて、綺麗な花を供えてもらっていた。
祖母「えらいおっきな子やな〜」
祖父「凪もデカかったもんな〜」
母「ホンマ重かったで〜」
赤ちゃんを見てみんなで笑う。
こうして見てるとただ寝ているだけに見えるのに…。
棺に写真や買っておいたオモチャ、あと私が作ったネコのぬいぐるみを入れてあげました。
棺の前で暫く無言が続いた後、「あとは2人でお別れし?」と言って私と彼氏以外はみんな家に帰った。
凪「ベビー用品とかさぁ…せっかく用意したのに無駄になってもうたな……」
彼氏「いや、そうでもないやろ」
凪「?…なんでや?」
彼氏「だって、これから産まれてくる子に必要やろ?」
凪「………ふぁ?」
思わず素っ頓狂な声が出た。
あまりに当たり前の様に言うものだったので…。
彼氏「え、お前まさか、今回の事で「もう子供作らん」とか言うんちゃうやろな?」(汗
凪「先生と同じ事言うな…」(笑
彼氏の慌て様に思わず笑ってしまった。
よっぽど子供が欲しいんだろう。
「お前の為に産んだるわ」と冗談っぽく言うと、彼氏が笑顔で抱き着いてきた。