• テキストサイズ

私の妊娠物語 〜20ヶ月の妊娠生活〜

第10章 別れ


朝学校に行くとドアの前で高等の先生に捕まり高等の事務局に連れて行かれた。
案の定死産の事を根掘り葉掘り聞かれイライラする。
なんとか我慢し適当に話してアート側(芸能と芸術)の校舎の9階にあるジュリアホールに行くと、もう先生達もみんなも集まっていた。


女友達1「あ、凪や!」


後輩1「えっ、先輩!?」


女友達2「お〜い!凪〜!!」


先輩1「凪ちゃ〜ん!!」


私に気付いてみんなが下から手を振って呼ぶ。
階段を駆け下りてすぐさま友達や後輩、先輩に抱き着いた。
「辛かったね…」って、みんなが頭と背中を撫でたりポンポンしたりして慰めてくれた。
だいぶ泣いたハズなのにまた涙が出てきてしまった。


先生達にも休んでしまった事を謝り、事情を話した。
先生達も気を遣って「無理せず、辛くなったら休みや?」と言ってくれたけど、もう休んでる暇なんてない。
せっかくの卒進だから悔いの無いようにしたい。
例え終わった後身体に異常が起きたとしても、この時の私はそれでも良いと思った。
もう赤ちゃんの心配をしなくてよくなったから…。


とくに問題なくこの日は練習が終わった。
ミーティングをして帰ろうとしたけど、井上先生に呼び止められた。


井上先生「凪、赤ちゃんこれからどうするん?」


凪「もう大袈裟にやらんと火葬だけでええやんって事で、今日出棺して火葬しますねん。ホンマは直で行くつもりやったけど、練習着と衣装と持って来るもんが多かったから、これから帰ってとりま一応喪服的なやつ着て……」


井上先生「今回は残念やったけど、この事で『もう妊娠なんかいい』なんて思ったらアカンで?あんたまだ若いねんからこれからいくらでもチャンスあんねんからな?」


凪「…うん、ありがとう先生。そんな事思ってへんから大丈夫やで。ほなまた明日、よろしくお願いします」


井上先生に挨拶して、私は学校を出た。


実はこの時、先生の前ではああ言ったものの本当は少し思ってた。
この先妊娠したとしても、また同じ事が起きるかもしれない。
お酒やタバコや薬を一切しなくても、今回みたいに原因不明で赤ちゃんが死んでしまうかもしれない。
こんな思いをまたするくらいなら、やっぱり子供なんて要らない。
もう、妊娠なんかしなくていい…って。
/ 63ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp