第9章 死産
女医「わかりました。では明日は朝から陣痛促進剤を投与しますので、陣痛が来ましたらお呼び下さい」
凪「はい、わかりました。よろしくお願いします」
説明が終わると女医さんはお辞儀して部屋を出て行った。
すると妹が隣にきてベッドの上に乗っかってきた。
そして無邪気な顔で尋ねられた。
妹「姉ちゃんの赤ちゃんなんで死んだん?」
死亡した事は母から聞いて知っているらしかったので、下手に誤魔化す事はしませんでした(まず誤魔化すの下手だから出来ない)。
凪「さっきのお医者さんがわからんって言うてたから、姉ちゃんにもわからんわぁ……」
妹「姉ちゃんがなんかしたから死んだん?」
母「ちょっ、あんた!」
妹の発言に母が妹をベッドから引きずり降ろし、「なんでそういう事言うんや!?」と怒った。
当の本人はなんで怒られてるのかわからないといった顔をしていた。
まだ言ってはいけない言葉なんて充分に理解出来てないから仕方ないと私は怒りはしませんでしたが、やっぱりその言葉で色々考えました。
凪(ホンマ…なんでこうなったんやろ…。妊婦のクセに動きまくったからか?足ツボ揉んだりとかしたから?妊娠する前に酒呑みまくってたから?若いオカン(中身はオッサン)やから?子供要らんて思ったから?望んだ妊娠やなかったから?)
色んな考えが頭の中でグルグル回る。
原因はわからないけど、やっぱり…自分に問題があったんじゃないか……
凪(……などとは思わない)←(ちょっと思った
私には保育園の頃から仲の良かった友達がいました。
何をするにもいつも2人一緒で、私が京都に転校してしまった後も手紙でずっとやり取りしていました。
けど私が神戸に帰ってきてすぐ、友達はガンになってしまいました。
治療で一度は腫瘍も小さくなり落ち着いたのですが、すぐにまた腫瘍は大きくなりどうする事も出来なくなり、友達は中1の冬に亡くなってしまいました。
共通の友人は「あの医者はヤブや!あいつを助ける事出来んのやから!!」と泣き喚いていた私に言いました。
例え医者であっても人の生死に関して第3者が出来る事なんて、ほとんどない(殺人などは別)。
そして人の死は例えどんなに願っても、神様にだって動かす事は出来ない……と。