第1章 妊娠
凪(とにかくあいつに連絡しよ。あいつも関係者やからな……)
とりあえず彼氏の『海』にLINEで「話したい事がある」と言い、夜に会う事になった。
因みに彼氏は私と同い年で高校には通っておらず、中学卒業と同時に働き始めた。
おまけに一人暮らしで、両親は彼氏が5歳の時に彼氏を施設に預けて何処かへ行ってしまったらしい。
私の周りには私を含め、複雑な家の子が多い。
落ち着かないまま時間になり、私は祖母に「バイト入ったから行ってくる」と言って彼氏のアパートに向かった。
インターホンを鳴らすとニコニコ顔で彼氏が出てきて「早よ入れ、蚊に刺される!!」と言って招き入れてくれた。
とりあえずベッドに座ると彼氏が台所からペットボトルのお茶を投げて寄越してきた。
彼氏も同じくペットボトル茶を持ってくると隣に座る。
彼氏「ほんで?ほんで?話したい事ってナニ?」
普段私から誘う事がないからか、彼氏はニヤけ顔でかなり嬉しそうだった。
子供の様な彼氏に若干呆れましたが、渡されたお茶を一口飲んでからズバッと単刀直入に言いました。
凪「オレ、妊娠したっぽいわ」(あ、普段は一人称オレなんです)
彼氏「ブフゥッ!!」←(飲んでたお茶吹いた
反応がマンガっぽいとか思いながら床に溢れたお茶をティッシュで拭く。
頭上からは「へ?へ?」という彼氏の間抜けな声が聞こえる。
彼氏「え、えっと、凪さん?すみませんが、もう一度おっしゃって戴けませんか?」(汗
面白いくらい顔を引き攣らせながら聞いてきたので思わず笑いそうになりました。
それを堪えて「妊娠した」ともう一度言うと、今度は「ぅおっしゃぁぁあああッ!!」と雄叫びを上げたかと思えば満面の笑みでベッドを飛び跳ね出した。
凪(え?あっ、え?)(汗
てっきりもっと慌てるかと思っていたのですが、まさかの反応に少し戸惑いました。
彼氏「ようやってくれたな凪!!オレこの時をずっと待ってたんや!!」
私の顔を見て目をキラキラさせながら彼氏はそう言った。
凪「えっ、けど…生活とかどうすんの?お前とオレの稼ぎじゃ養育費の前に出産の費用も払えんぞ?それにオレまだ学生やし、おババやオッサンが何て言うか……」
ボソボソと不安な事を呟くと、彼氏は私の横に座り直して俯いている私の顔を覗き込んできて聞いてきました。