第8章 宣告
凪(え、早っ!まだ40分くらいしか経ってへんのに…)
彼氏の仕事先は大阪で病院まで距離はかなり離れていたハズなのに、僅か40分ほどで到着した。
けどよく車やバイクのスピード違反で捕まる事があるので今回もそれかと思いました。
上半身を起こしベットの上から彼氏に目線だけ向けると、汗だくでゼーゼー言いながら泣いていた。
彼氏「はぁ…はぐっ…ふぅ……」
凪「…………」
涙と鼻水でグシャグシャの彼氏の顔…。
服に垂れる前に拭きに行こうとティッシュを数枚取ってベッドから降り、彼氏の前まで歩く。
でも何回拭っても涙は止まらず、後から後から流れてくる。
凪「…………」(ジワ〜
段々自分も目が潤んできて、目に涙が溜まっていく。
するといきなり彼氏がガバッと抱き着いてきて、思いっきり抱き締められた。
彼氏「あ…あぁ…あう……」(ボロボロ…
凪「……ふぅ…ふぐっ…うぇ」(ポロポロ…
彼氏の体温を感じてとうとう涙腺が崩壊した。
その後はひたすら二人で抱き合ったまま泣き続けました。
みんなの前では取り乱さなかったのに、彼氏が泣いてるのを見たらどうしても抑えられなかった。
凪(コイツが…こんな号泣してるとこなんか初めて見たわ……)
私は彼氏が泣いているところをあまり…というか、まったく見た事がなかった。
元々口角が上がり気味だからか、いつも笑顔で滅多に怒る事もなく、泣いている姿は一度も見た事がなかった。
普段涙を見せない彼氏が死産した事にここまで号泣している事に、思わず感情が溢れ出てしまった。
凪(当たり前か。オレが妊娠して一番喜んでたんは…コイツやもんなぁ……)
あれだけ喜んでいた彼氏が悲しむのは当たり前の話だ。
産まれてくるのを、彼氏も…母も…家族も…友達も…先生も…みんな楽しみにしてくれていた。
そして、私も…。