第8章 宣告
凪「…………は?」
一瞬思考が停止した。
言葉の意味が理解出来ず、思わず聞き返した。
凪「え、ど、どういう事ですかソレ?」
女医「エコー検査やNST(ノンストレステスト(胎児心拍数モニタリングの事))で確認してみましたけど、赤ちゃんの心音が感じられませんでした。ヘソの緒にも血流がありませんし、今の段階では原因は不明ですが、何らかの理由で赤ちゃんが体内で亡くなってしまったようです……」
凪「…………」
説明を聞いて漸く意味を理解した。
そして理解した瞬間、頭をトンカチや金槌で殴られた様な衝撃を受けた。
よく『鈍器で殴られた様な…』という表現がありますが、本当にそんな感じでした。
凪「…………」(ポロ
気付いたら涙が目から零れていて、溢れ出したら止まらなくなりました。
けど妙な感じで、ただ目から水が流れているだけって感じでした。
凄く悲しかったけど何処か他人事みたいな感じで、けど『死』って言葉が凄く胸にきて……。
言語力の乏しい私には上手く表現出来ませんが、この時の私は泣き喚くわけではなく、ただ静かに涙を流しているだけでした。
ナース「大丈夫?」
気付いたら隣にナースさんが来ていて、そっとハンカチで涙を拭ってくれた。
小さく頷いて身体を起こし、診察台を降りて椅子に座る。
女医「なるべく早く処置した方が良いですし、今日これから入院して明日の夕方に処置でもよろしいですか?」
凪(午後から学校あるけど、今処置したら卒進までには動ける様になるか……)
自分でもビックリするくらい冷静にこの後の事を考えてました。
凪「そうですね…。もうすぐイベントありますし、早く処置したらイベントまでには動ける様になるかもですしね……」
女医「……そうですね。けど、あまり動き過ぎても処置後の身体に悪いですから、気を付けて下さいね?」
凪「はい…わかりました…」
本当は動いたらダメって言いたかったんでしょうが、私の雰囲気的にあまりキツく言ったらマズいと思ったのか、女医さんはそれ以上何も言いませんでした。
その後ナースさんから入院に関しての説明を受け、病院から家族に連絡してもらい荷物を持ってきてもらう事になった。