第5章 執着の時間
誰の中にも、闇はある。
「暗いよね」
「いつも一人でさ」
好きなことを陰から言う者たちがいた。
気に入らないことがあれば
ヒステリックにわめく母親もまた、同様に…
ケイト「なら、私は狭間を大事にするよ。
だって…
あの時っ
鷹岡先生の時、間に入ってくれて
死ぬほど嬉しかったんだ;」
狭間「!」
狭間を真っ直ぐ抱き締めながら、涙が零れ落ちていった。
ケイト「護ろうとしてくれた…
大切にしてくれたから;;」
気が付かぬ内に
頬を伝い、ぽとぽとと床に零れ落ちていく中
狭間「ありがとう(微笑」
狭間は嬉しそうに笑いながら
目に涙をにじませながら、その頭を優しく右手で撫でていた。
左手に、そのもらった本を持ったまま…
優しく抱き締められながら、温かさに触れながら……
その時、ケイトから思いが伝わってきた。
『ホントは…
こんな思い(闇)、捨てたかった。
逃げ出したかった。
死にたくなるから。
そしたら、爺ちゃんにも婆ちゃんにも辛い思いさせるから;;
やり場にない想いを無視するしか出来なくて、拒絶するしかなくて
認めちゃいけないものだ、じゃないと崩れるって;
だけど、お前が居てくれたから
一杯、色んなこと教えてくれたから;
世界にはいろんな悩み抱えてる人がいるって知れた!
話したっていい、向き合ったっていいって教えてくれた!
そうじゃなかったら…
私は、心が死んだままだった。
あの闇による気持ちも、感情も…
全部奥底に押し込めて、殺して、そうじゃなきゃ……(涙』
それから、次に伝わってきたのは…
遠い過去のことであると同時に、何度も悪夢としてみる光景……
(崖から車ごと落ちる中
母親に逃がそうと、そっと放り出された光景が浮かぶ。
母の笑顔が視える。
必死に左手を伸ばして掴もうとしたが、届きそうで届かぬまま終わり…
そして…
木がクッションとなって、落ちた。
と同時に、どぉおん!!と爆発音が聞こえた。
それを聴くや否や…
身体の痛みも無視して
必死に、落下地点へと身体を引きずる。
そして見たのは…
さっきまでのっていた車が炎上する場面。
炎上する車へ、必死に左手を伸ばす。
助けに行こうと、身体を車へ向けて動かそうとする。
だが…