第5章 執着の時間
始祖神「そうして…
お前は、私が遺した力分しか『力』を使えなくなった。
それだけでなく、本来あるはずの寿命まで大きく変わってしまった。
どちらも、もとは同じだ。
だが、お前の体に合ったのは違う方。
それを入れ替えるために、ここに来た。
力も完全に戻って
お前の持つ、私とは違う『神の力』を取り戻させるためにな」
そう言いながら、心の中の白い空間の中で
最後の一言を言ってから、ケイトに歩み寄りながら手のひらを向けた。
ケイト「…」
始祖神「だが、だからといって
『神の力』が無くなれば、死ぬという現実は変わらない。
ロストレジェンドと名付けたが
それは、まさにその通りの名前だったということだ。
そして、中に神と力を入れておいたのも私だ。
…怒っているか?」
ケイト「…ううん(首を横に振る)
祖先が、必死に考えて出した答えなんだ。
否定も出来るわけない。
だって、そのまま闇を分離させなかったら
きっと、それに押しつぶされて襲い掛かってたと思う。
自分を護るためにも、相手を護るためにも必死だったんだって
それを視てるだけで伝わってきたんだ。
視ただけでも、十二分に…
たくさんのものが、さ……」
そう胸に手を当てながら言い
ケイト「だから始祖神、ありがとう(微笑)
わざわざ使い慣れたものに治そうとしてくれて^^
本当に助かるよ。
馴染みはあるっていっても、完全に一体化できるわけじゃないからさ。
でも、それでどんだけ細かく扱えたとしても
身体が生きる上においては問題ないから使わない。
使う必要がないからな。
だけど、人として生きる上においては
相手を助けたり護り抜くためなら、遠慮なく使う。
どちらにしろ、卒業式までの命なんだろ?
なら、それまでの間に
寿命を取り戻す方法を模索してみせるさ」
始祖神「私に力を返せとは言わないのか?
業を背負う覚悟で、一体化したんじゃなかったのか?」
ケイト「ああ。背負う覚悟だ。
あの時の気持ちは、今でも変わっていない。
その上で、決めた(真剣」
真っ直ぐな眼で向き合う中
ケイト「お前の手は、もう煩わさせない。
だって…
今までたくさん、山ほど助けてくれたから…(微笑)
自由に、幸せを求めて生きて欲しいから^^」