第5章 執着の時間
護郎と男、その子らは親友同士だった。
だが、駆け付けるのには一歩遅く
その力を証明した後になってしまった。
それから、妻と子にまで手を出そうとする人たちに対し
抜け道を使って、逃げるように言っていた。
護郎「すまない!!;
人の不幸を…
自分のことではないのに、胸を痛めてくれる奴だった。
誰よりも思い遣ろうとして
相手のために、涙を流せるような人だった。
それを奪っていいはずなんてないのにっ…
俺は、護れなかった!;」
涙ながらに、滝の裏の洞窟の中で土下座して謝っていた。
それは、護郎とその男の秘密の場所だった。
それから後、子供が封じ岩を洞窟の前にすることに決めた。
一族やその心友や動物でないと
岩を通り抜けられないよう、闇に襲い掛かられないようにして…
もしも岩を開けたり破壊すれば
それまでに溜め込んだ闇が、化身となって解放し
ここまで苦しめてきた人々に対して襲い掛かるようにして…
それは後に、500年後の9月1日に解けることになった。
解放されれば、心友と一族以外は全て殺される結果となる。
それこそ、一番避けなければいけない事態だと考えるのは当たり前だった。
だからこそ、それを浄化するのを子孫任せにするのを最期まで渋っていた。
光は光でも、その中でも最上位の浄化を使う。
200年も溜まり切ったそれは
風月流弐式のそれであったとしても、太刀打ちできないものとなっていた。
それを示唆して、生み出されたのが…
あの石板だった。
自らの死骸をもとに、全て押し込んで
その者が持つ力を存分に発揮できるように、願いを込めて…
始祖神に協力してもらって、洞窟の中で生き続けていられるように
少しでも、子孫の助けになれるように…
200年の時が流れて
その護郎の肉片や血や骨を使った実験の
記録も記憶も消してもらってから、洞窟から村へ戻ってきた。
何気なく、もとからいたように…
心配、慈しみ、愛…
様々な念を石板に込めながら、成仏していった。
そうして…
神の力を宿した者が生まれた。
それは、人々を護りたいがために
己の宿した『神の力』を全て引き出して浄化し
結果的に、それが始祖神を復活させ
始祖神からもらった『神の力』しか残らなかった。