第5章 執着の時間
こんなこと、知りたくなかった!
それでも、知ってよかった。
そんな複雑な胸中の中、感情の嵐の渦の中…
その真っただ中で、必死に叫んでいた。
涙を浮かべ、こぼしながら…
暗闇が照らす中、始祖神が人の形を成していく。
あの当時、イトナと戦い
シロに拳銃を向けられた時、見せた姿をありありと…
始祖神「…その様子だと、全てを知ったようだな」
ケイト「…(こく」
黙ったまま、頷いた。
始祖神「…それで、水以外がのどを通らなくなったか?
自分が、幾多の屍の上に
不安定な状態で、成り立っていることを知って…」
ケイト「それだけじゃない。
闇の…
自身の中の闇も、人の闇も感じ取れるようになったから余計にだ」
始祖神「…いいだろう。一応話しておく」
そう言いながら、ベッドに座った。
始祖神「長話になる。
お前は横になって聴いていろ」
ケイト「…;眠る自信しかないんだが;」
始祖神「安心しろ。
眠ったとしても、その精神に直接話しかけられる。
そろそろ帰ってくるにしても、ちょうどいいだろう。
脳内で話す事にしよう」
ケイト「………わかった。
(きっと、聴かれちゃまずいことなんだろう」
そう思う中、ベッドに横たわって目を瞑ると…
あっという間に眠りについた。
だが、それは体だけであって
精神は違っていた…
ケイト「!」
始祖神「映像を見せるにおいても、こっちの方が早い。
霊感が鋭くなったのに関しては
お前の神経が鋭くなっているのもある、が…
一番の要因は、お前があまりに
闇とは相反したもの、光を常に示し続けているからだ」
ケイト「え?」
始祖神「…光は、強まれば強まるほど
闇を小さく、濃縮にしていく。
だからこそ、その光を分け与えようとし過ぎれば
その分、闇に飲み込まれやすくなってしまう。
だから、前のお前のように水以外飲めなくなったりもする。
闇の気に当てられ、気分が悪くなり
しんどくなり、吐きそうにもなってしまっただろう?
それは、闇に対しての感度が非常に上がったためだ。
それ故、人混みに居るだけでさえも辛く感じ
出来なくなってしまった。
各々、人に抱ける闇には限界値がある。
それを超えたとしてもなお、優しくあろうと
光を貫こうとする者のみに、より強く現れる」