第4章 泥棒の時間
殺せんせー「大丈夫…
辛くてどうしようもないなら、分け与えればいい。
それが申し訳ないのなら
後でたくさん、楽しい時を過ごして
一緒になって、それ以上に笑えばいい。
大丈夫…
あなたには、こんなにあなたのことを考え
思いやってくれる、掛け替えのない存在がいるのだから^^(なでなで」
ケイト「っ;;うんっ;;;」
涙が止まらない。
欲しい言葉が、欲しかった想いが、心に沁み込んでいく。
遠い昔、殺せんせーもまた同じだったのかもしれない。
やりたい放題にできず、それ(殺し)以外に意味を見いだせず…
気付かぬまま、己の本来あったはずの欲求やら何やらまで殺してしまっていたことを…
私もまた、自分を大切にすることに意味を見いだせずにいた。
気付かぬまま、その環境に慣れてしまって
本来あったはずのそれ(己)を、常に殺し続けていた。
相手よりも大事なものなんてないのだと…
長年に渡って、そうするのが当たり前で、自分を大切にするのが異常に視えていた。
解放されていいんだ。
とらわれなくて、よかったんだ。
それが解って、なおさら涙が溢れ出てきた。
そう思ってることもまた、伝わっているように感じた。
(実際に、力によって無意識の内に伝わっていた)
笑顔を見るのが、嬉しいのは変わらない。
とても温かくて、眩しくて…失ってしまった……
そんな日常というか、毎日にとっての常識だったから…
失っていたことに、気付かなかった。
そして今、気付かされた。
だから…
殺せんせー「また、何度でも
ケイトさんの心に来て、盗みに行きますよ?
私、今は泥棒ですから(にゅやり」
ケイト「……ありがとう、殺せんせー^^//」
その笑顔は、とても晴れやかで…
見ている僕等にも、よくわかるものだった。
殺せんせー「もう、大丈夫」
その時、殺せんせーの声が聞こえた。
それに私は、安堵しか感じられなくなって…
思わず、笑ったんだ。
一緒になって、そっと…
それと同時に、僕(渚)は思った。
『ケイトちゃんのことを
一番理解しているのは、殺せんせーなのかもしれない』と…
その瞬間、
人間の殺せんせーと、幼いケイトちゃんが
笑顔を浮かべながら真っ直ぐに向き合った光景が、瞼に浮かんだ気がした……