第4章 泥棒の時間
殺せんせー「…(微笑」
それに私は、抱き締めながらそっと頭を撫で続けた。
本当は、嬉しくてたまらないのでしょうね。
最初こそ、動揺したりもする。
ありのまま、それを知ることが
そのきっかけが得られたからこそ、余計に…
そう思いながら、優しく…
殺せんせー「…
あなたが居てくれて、本当によかった。
今ならまだ、十分に間に合う。
先生には…
何をしても、何を感じなくなっていた時があった。
悪いことを悪いとも思えず、殺しが生きる道に…
でもね、そんな時に光を差し込んでくれたのが
ケイトさんの言っていた、雪村先生です(微笑)
そう、せんせーになるきっかけをもらったのは
私の方でした。
今でこそ、こんなのこんなのですが…
それまで、感情も想いも無くして生きてきた。
でもね…
あの閉じ込められた日々が、たくさんのものをくれた。
いつの間にか繋がって、自分らしさというものを持てるようになっていった。
押し殺して、押さえ込み続けていれば
その時に得られていたはずの笑顔も、泣き顔も…
全て、失うことになってしまう。
あなたはまだ若い。
まだ、自分らしさというものを出して
生きていけるきっかけとなれば、それでいい」
ケイト「っ;;(ぽとぽとっ」
やはり、似ている。
失っていたものに気付いて、感情が溢れ出ている所も…
ただ、違うのは…
まだ、全てを失ったわけではない事……
まだ、昔の私とは違って…取り返しのつくこと…
(あぐりの最期をみとる光景が、脳裏に浮かぶ。
触手を恐れず
最期まで真っ直ぐ、優しく受け止めてくれたこともまた…)
殺せんせー「大丈夫。
あなたは、とても真っ直ぐで温かい。
だからこそ
あなたの理解者もまた、真っ直ぐに受け止めてくれるはずです。
ね?」
『うん!(微笑』
カルマ「当たり前じゃん(微笑」
寺坂「まあな(ふいっ」
微笑みながら頷く姿を見て
ケイトさんは、なおさらに涙が止められなくなった。
それもまた…
泣きたかったであろう、昔の己を照らし合わさせた。
あぐりを失った時も
あぐりから、再び失ったはずのものを
取り戻させてもらったこと(笑顔や感情)も……(微笑)