第3章 フリーランニングの時間
その時、僕は愕然としていた。
本人は気付いていて、それでも無理をしたことじゃない。
どこか、やっぱり相手を気遣う所をやめない所だった。
それは…
『考えたらわかるでしょ!』
『わざとやってるんじゃないの?』
『最悪だよ!』『さいってー!!』
『嘘つき!』『誰がどう見ても存在する価値ない!!』
全員から拒絶されて、否定され続けていた時……
そんな言葉を、次々に投げかけられ
誰にも相談できないまま、それでも毎日通い続けて…
それらによって、身に沁み込んでしまったことでもあった。
相手のことを気にし過ぎて、自分のことは二の次にしてしまう。
自分なんかはいらないから、自分のせいで失ったから…
その心の穴が、余計に今でも自分をないがしろにしてしまっている。
寺坂くん曰く
それが突っかかって笑えなくなることの方が、当時は多かったらしい。
一生懸命考えて、心を無にして距離を取って…
少しでも、不快な思いをさせないように必死になっていた。
でも、それは転校してきた当時にも届かないまま…
感情も、夢も、希望も…
その当時にしたかった顔も、想いも…願望も…欲求も……
全て、そこに置いて来てしまったのかもしれない。
誰も、受け入られることのないままの環境の中で…
ただ一人、全てが敵と代わった環境の中で…
それでも、相手の笑顔が好きだという思いだけは捨てきれずに……
『9月15日、倒れる。
どうしよう。治っていかない。
それどころか、悪化していっている。
勝手に意識が飛んでる時が多くなっていく。
水以外のどを通らない。
吐き気ばかりがひどく上がっていく。
あまり多く食べれない。
人混み嫌だ。気が狂いそうになる。
何とか声として認識しないようにしているけれど
それでも耳がつんざく感覚がひどい、頭がくらくらする。
何とか耐えなきゃ…
人が少ないんだから、まだマシ。
本校舎の時に比べれば、よっぽど…』
きっと、無意識の内に波動を感じているんだろうか…
それとも、やっぱり魂というか心自体を認識して?
そんな憶測は当たっていたみたいで…
でも……
最後の部分には
一番見たかった…救われた文章が、そこにはあった。