第20章 冬休みの時間
そんな夜…
静かに、AM0:00の時は刻まれた。
一人、病室で脳裏に思い浮かべていたそれに…
ふと、微笑んでいた。
いつもの場所(教室)
いつもの光景(二人で笑いながら話し、幸せを感じていた)
いつもの、態度(照れ隠しからか、顔を赤らめながら逸らす)
意地を張って
恥ずかしさからか、襲い掛かるかのようにポーズしたり(拳握る)
カルマ「…っ」
そう、次々に元気なケイトの姿が浮かび続ける中…
ふと、目に涙がにじんだ。
カルマ「…ねえ、ケイト。
聞こえてる?」
ケイト「…」
そんな中、少し黙ってから
カルマは、言葉を紡ぎ出した。
ケイトは変わらず、意識が戻らなくて黙ったままだった。
それでも、言わずにはいられなかった。
何故なら…
カルマ「…俺、15歳になったよ?」
ケイト「…」
今日は、カルマの誕生日だから。
カルマ「連絡…送るんでしょ?」
ケイト「…」
連絡を送ると約束した、大切な日だから…
カルマ「ねえ……(ぎゅ」
ケイト「…」
その手を握り締めながら
握り返してくることを望みながら、その右手を優しく握っていた。
カルマ「俺の声…聞こえてるでしょ?;
ねえ?(震」
ケイト「………」
意識が戻らないのは変わらない。
それでも、言わずにはいられなかった。
声が震えながら、涙が次々に零れ落ちていった。
カルマ「っ…;」
息を飲む音、嗚咽…しゃっくり……
それらが混ざりながらも
ケイトのスマホ(携帯)を開いてみると…
そこには
カルマへの、メールの下書きが保存されていた。
『誰よりも愛おしいカルマへ(ハート)
誕生日おめでとう!!^^
生まれてきてくれて、本当にありがとう。
出会えて、最高に幸せだよ(微笑)
大好き!愛してるよ~!!^^♪
世界一祝うのが早いケイトより(にやり)』
一見すれば、バカバカしくも見えるメール…
それでも、とても嬉しいものには違いなくて……
カルマ「っ;
あっ;;
うあああああああああああああああああああっ;;」
12月25日…
防音性もある病室で、一つの泣き声が響いた。
ベッドに横たわるケイトの隣で、突っ伏しながら…
聴いている人が、いるとも知らないまま……