第19章 正体の時間
そう言ってから、涙ぐむカエデを
私はまた、そっと抱き締めた。
ケイト「お前がいてくれて、ホントに感謝してるんだ(微笑)
心の傷も、闇も、憎しみも、恨みも、怒りも…
たった一人で相談できないで、ずっと葛藤してきた悩みも
『理解してくれる人なんて、誰もいないに決まってる』って偏見も……
お前たちがいてくれたから
出会って、一緒にたくさんの想い出を過ごせたから…
バカやってても、演技だったとしても
全部…それごとひっくるめて、大切なものなんだよ。
それにツッコんだ時の感情も
一緒にバカやって笑ってた時も、今こうやって泣いてるのだって…
全部、それを治してくれたんだ。
それで、自分らしく生きるってことを学べた^^
これ以上ない、大切なものなんだ。
だからさ…そんな風に言うなよ。
生きてることも、生まれてきたくれたことも…
全部……
全部、大好きなんだからさ」
カエデ「ジーン)…っ;
うん;;
私も、ケイトちゃんが大好きっ;;
大好きだよっ;
皆も、全部…全部!;」
救いが来ることなんてなかった。
誰かに助けられることなんて、なかった。
どうにもしようもない…
そう思いかけていた。
それでも、出会えてよかった。
だって…
捨てたもんじゃないって、想えたからっ(涙)
声を詰まらせながら、語る中…
一人一人が、その意味を解ってか涙を流していた。
それから、カエデからゆっくり話を聴いた。
『最初は純粋な殺意だった…
けど、殺せんせーと過ごすうちに、殺意に確信が持てなくなっていった。
この先生には、私の知らない別の事情があるんじゃないか。
殺す前に確かめるべきじゃないかって…
でも、その頃には触手に宿った殺意が膨れ上がって
思いとどまることを許さなかった。
バカだよね…
みんなが純粋に暗殺を楽しんでいたのに…
私だけ1年間、ただの復讐に費やしちゃった』
そう、哀しそうに語るカエデに
渚は答えた。