第19章 正体の時間
最初こそ、復讐だけだったのは間違いない。
それでも…
それから後で、一緒に笑ったり泣いたりしてたのは…きっと、本気だった。
本心から心配して…
そうじゃなきゃ
ケイトちゃんが怒って、力が暴走して死にかけて
それから助けるための試練に、命をかけたりなんかしなかった。
そうじゃなきゃ…
そう思う中、僕等ははっきりと解った気がした。
触手の殺意が、止められないくらい膨れ上がったのだろうと…
誰にも言えないまま、辛かったとしても
いつでも受け止めてくれる存在が…
ケイトちゃんが、すぐ傍にいてくれたから
余計に嬉しかったんだということも…
ケイト「ごふっ。
さっき抱き締めてた時に抜けばよかったのに」
殺せんせー「まだ殺意が完全に抜けきってなかったので;
そのまま抜いていれば、神経に異常が;」
速水「どうすれば…」
殺せんせー「先生はあえて最大の急所を突かせます!
やったという手応えを感じさせれば
少なくとも、触手の殺意は一瞬弱まる。
その瞬間、君達の誰かが
茅野さんの殺意を忘れさせることをしてください!」
狭間「殺意を…どうやって…」
殺せんせー「思わず暗殺から考えが逸れる何かです!
君達の手で彼女の殺意を弱めれば
一瞬ですが触手と彼女の結合が離れ
最小限のダメージで触手を抜けるかもしれない」
木村「先生が先に死ぬんじゃねえの…?」
殺せんせー「先生の生死は五分五分でしょう」
片岡「そんな…!」
それから、顔の残像は消えた。
茅野との全力戦闘で
いっぱいいっぱいなのが、誰の目にも明らかだった。
次から次に出てくる案に対し
未だに最善策は出ないまま、時は過ぎていく。
そんな中、僕はここで学んだことを思い出していた。
猫だまし
ナイフ、狙撃…ダメだ、茅野を傷つけるものばかりだ。
何かないか…
何か?
そう
必死に考えを巡らせている中、一つだけ思い出した。
別の、最善策を…