第19章 正体の時間
ケイト「…」
そんな中、ケイトちゃんは
ただ、黙ってみていた。
離れた場所で、僕等の声が聞こえないような場所…
教室の中で、たった一人で……
といっても、律もいるんだけど。
律「ケイトさん?」
ケイト「大丈夫だ。
なあ、律…」
律「?はい」
ケイト「…私に何かあったら
早朝に言ってたこと、伝言頼むな(微笑」
律「…はい」
ケイト「お前に問われなきゃ、たぶん答えは出せなかったと思う。
殺せんせーを
殺したいか、殺したくないか…
『殺せんせーを殺したくない。
もっと一緒に、たくさん色んなことをしたい。
いっぱい笑って
今まで押さえ込んで解放し切れなかった分、解放したい』
そんな中で
『誰かに殺されるなら
誰かに殺されて、今までの時が無駄になるくらいなら…
自分たちが殺したい』
そんな二分した想いが、どちらも同じぐらいある。
だから、もし…
この教室が二分するようなことがあれば
私は中立って伝えておいて欲しい(真剣」
律「…わかりました!(真剣」
そう、真剣な顔で話し合っているのだけは見えた。
律がうなずいた所も、一応…
でも、内容までは解らなかった。
冬休みが過ぎるまで…
それがはっきりとわかることはなかったんだ。
そうして、僕等が教室に入る前
律「…ケイトさんは、殺せんせーの過去が解るんですか?」
ケイト「……
視えてたよ。
見えてたけど、言えなかった。
突かれたくないなら、突きたくなかったから。
痛い想いをしてきた。
だからこそ、余計に…
ずっと、そう思ってたんだ。
何かあるなら、突いちゃいけない。
話そうとしてくれるまで、ちゃんと待とうって。
それで決めつけず、全部受け入れようってさ^^」
律「…」
ケイト「だから律、さっきのは内緒^^(しー)
…知らない方が、良いことだってある」
その切なそうな顔は、今までに見たことがないぐらいだった。