第19章 正体の時間
状況の変化に、僕の頭はついて行かなかった。
知らなかった、茅野の触手。
いきなり過ぎて、何がなんだか…
理解し切れなかった。
カエデ「上手でしょ?
先生の触手の動きのパターン、特等席で1年たっぷり…
予習したから!」
そんな茅野の猛攻を受けて、段々落ちていく殺せんせー。
その落とし穴の底には、対せんせー弾のプールがあって
殺せんせーも慌てて、必死に踏ん張った。
カエデ「あと一撃…
!」
ぱああああああ
そこに追い打ちをかけようとする茅野。
だったけれど、踏ん張っている触手以外のでエネルギーを取り出して集め
カエデ「マズイ…!!」
殺せんせー「にゅやっ!!」
どごおん!!
白い光が解き放たれて、爆発を起こし
それと同時に、殺せんせーは外へ出てきた。
それに、僕等が尋ねると…
奥田「え…」
神崎「茅野…さん!?」
カエデ「あ~ぁ…
渾身の一撃だったのに。
逃がすなんて甘過ぎだね、私」
殺せんせー「茅野さん…君は一体…」
カエデ「茅野カエデは本名じゃないの。
雪村あぐりの妹…そう言ったら分かるでしょ?
ひとごろし(睨」
渚(演技をやめた茅野の顔は、別人のように険しくなっていた)
カエデ「確信したよ。
必ずやれる、今の私なら」
イトナ「あり得ない…
メンテもせずに触手なんか生やしてたら、地獄の苦しみが続いていたはずだ…
表情に出さず耐え切るなんて、まず不可能だ」
前原「雪村あぐりの妹だって!?」
岡島「俺らの前の担任じゃねえか」
三村「どっかで茅野を見たことあると思ってたんだ…
キツめの表情と下ろした髪で思い出した。
磨瀬榛名って覚えてるか?
どんな役でも軽々こなした天才子役…
髪形も雰囲気も全然違うから、気付かなかった」
スマホの画像を見せながら言われる中、僕は思っていた…
渚(どれが本当の彼女なんだ…)
いつもの笑顔の茅野と
スマホの画像の茅野が脳内で交差していた。