第16章 期末の時間 2限目
それは…
人の笑顔が、大好きだっていうこと。
それをしている時は、とても純粋で…
真っ白で、輝いているようにも視えた。
とても温かで
どこか、心地よくて…
ずっと、こうして居たいと
幼いながらに、そう思えて仕方なかった。
そうすると、一緒に笑っていると…
それだけで、どこか満たされた感覚がした。
それだけで、どうでもよく感じてしまった。
それと同じなんだと、今になって悟った。
色んな形に変わっていく。
心も、感情も、人も、動物も、植物も…
一日として、一瞬として全く同じ瞬間なんてない。
楽しい時もあれば、嬉しい時もある。
哀しくなって、泣きたくなる時だってある。
今までに味わってきたのが
そうだったからといって、決めつけなくていい。
もう二度と
誰にも不快な思いを味あわせないように
一人で、距離を取ろうとしなくていい。
それを未だに引きずって
何かをすることに恐怖しなくていい。
過ちを犯したことに
何度も謝って
泣いて謝り続けて、怯えなくていい。
その言葉をうのみにして
自分は存在しちゃいけないものなのだと、思わなくていい。
理不尽な目に遭うのは
どんな形であれ、誰にでもあることに
私は、E組の皆に出会って気付けた。
人を傷付けないように…
そう、必死に行動していても
知らず知らずのうちに傷付けていることだって、いくらでもある。
誰にでも、何にでも
等しく、過ちというものは存在する。
むしろ、誰にでもあるからこそ
その過ちに人を重ね、頭から責めるのではなく
許し、ありのままの本質を見てくれてさえいればそれだけで…
それを向けられるだけで、私は救われた。
されたことをしただけだって言われても、そうは感じられなかった。
完璧を求めなくていい。
自分らしくあっていい。
自分を殺してまで、必死になり過ぎなくてよかったんだと
その時になって、私は知った。