第10章 死神の時間
渚「やった…」
磯貝「ケイトの…勝ち?」
『やったあ!!』
誰もが、ケイトちゃんの勝利を確信した。
そう喜び合う中
カエデ「!まだ終わってない!!」
茅野の声に、即座に引き戻された。
そして…
その言葉通り…
死神は突如、動き出した。
食らえば、意識を失うはず。
それほどの攻撃をしたはずなのに、何で?
そう誰もが思う中
それは静かに、目の前に現れ出した。
死神「ふう。ギリギリだった」
ケイト「?(くらっ」
どさっ(ひざまずく)
ケイト「!…力が」
死神「ちょっとした仕込みをしてたんだ。
それで遅れたけれど、ちょうどターゲットがいなくなって
なおかつ、君がバテバテになりながら駆けつけた後だった。
あの時、言っただろ?
『僕の方が一手早い』って…
あの時の薬に、即効性で効く薬だけじゃなく
後になってから効いてくるよう、遅効性の睡眠薬もいれてたんだ。
あの時から、ちょうど2時間。
そろそろ効き目が現れる頃だ」
ケイト「ピークが…2時間…
(ということは、短時間作用型か中間作用型…
その中で、2時間なのは……)
ニトラゼパム…か?」
死神「正解^^
頭がくらくらして、力も入らない。
中枢神経系に効く薬だから、なおさらにね」
ケイト「睡眠導入薬…
ベンゾジアゼピン系か。
フルマゼニルでも持ってくるんだったな、くそっ。
といっても、最初に効果発揮したチオペンタールは囮かよ。
バルビツール酸系に効く奴」
死神「そっちの方がやりにくいでしょ(微笑)
それと…一応、教えておくよ。
あの院長さんのことも同時進行で調べてたみたいだけど…
あの院長さんの依頼通りに殺したのは僕だ」
ケイト「!!」
その言葉に、驚きを隠せなかった。
殴りかかろうとした、吉田君と村松君の動きも止まった。
初めて感じる…
ケイトちゃんの、凄まじい殺意に。
そんな中、ふらふらとなりながら
ケイトちゃんは立ち上がった。
少しでも動けばやられる。
そんな、鋭く…
そこにいるだけで、痛みを憶えるほどのものだった。
渚「なに、これ?(震&青ざめ」
両手で、両腕を抱き締め
震えを止めようとする中、歯と歯がガチガチと鳴る…
今までに感じたことがないほどの、危険信号が
青ざめた、僕等を襲っていた。