第9章 ビフォーアフターの時間
消してしまいたい感情
消してしまいたくない想い出
全部があったから
それごとひっくるめた自分が、ここにいたから……
生きていく上で
大切な何かを、解ることができた気がする。
だから私は…
何かが、腑に落ちた気がした。
そして現在…
ケイト「だから…
だから……(ぎゅ」
拳を握り締めながら、決意を露わに言葉を紡いだ。
二度と揺るがないために
その証明とするために
是が非でも……
それを、一生涯貫き通せるようにするために
ケイト「無駄にさせていいなんて思えなくなった!
私一人の命も
殺せんせーの命も、カルマの命も!!
あれから、ずっと考えてた。
この感情は、いつかはマシになるかもしれない。
でも…
きっと、何度でも思い出す度に胸を痛めてくる。
(胸元を、母から誕生日に託された十字架ごと掴む)
その痛みは、簡単に消えてなんかはくれない。
いじめられた日々も
人なんてって思い込んでた時も、絶望してた何年間も
それまでに味わってきた
殺されたことや傷付けられたことで得た痛みも!
『忘れてしまえば』なんて思ってた。
『思い出さないように』って
『殺さないと』って、必死に押さえ込み続けてた!」
母に崖から落ちる車から、木へ投げられて
車に、父に、母に左手を差し伸べる場面が蘇る。
(第二部、96~98ページ参照)
ケイト「…
でも、違った…
そんなことしてたって
意味なんて、何もないってことに気づいたんだ。
ただの、一時しのぎに過ぎないんだって…」
『…』
そんな中、静寂が訪れる。
それでも…
止まるわけにはいかなかった。
ケイト「E組に来て…
殺せんせーに会って
烏間先生に会って
カルマとも
渚とも
カエデとも…
律やイトナにも出会えた。
ここで過ごした日々…
皆との想い出…
一緒に笑ったこと
私一人のために、怒ってくれたこと
泣いてくれたこと
一緒に叫んだり、暗殺したり……(ぎゅううう」
カルマ「…」
拳を握り締める力が強まる。
その拳を、カルマが右手で掴んで
優しく包み込んでくれる。
温かさを感じる中、最後まで話す決意を固めた。
今まで詰め込んだ想いを、伝えるために…