第9章 ビフォーアフターの時間
ケイト「…
(そんな風に、思ってたなんて…」
何か、言葉で言い表せない何かに
気付かされた気がした。
イトナ「過去に何があったかが、大事なんじゃない。
それを踏まえた上で
今、どう動くかが大事だと俺は思う」
ケイト「…」
そして…
その言葉に、息を飲んだ。
イトナ「だから俺は
お前を尊敬しているし、憧れの念も持っている。
『時間を返せ』とも言わない。
『時間を戻せ』とも言わない。
一番過去をやり直したいのは、お前のはずなのに…
そういった弱音も吐かないで頑張ってきたその努力は、称賛以上に値するものだ」
そう言いながら、イトナは立ち上がって
黙ったまま、イトナを見続ける私の方を向いて言い出した。
イトナ「ケイト…
お前は、お前でいていいと思うぞ。
第一…
そのお前に、俺は救われてきた」
ケイト「驚)!え…」
驚きに目を見開いていると…
イトナ「ふっ(微笑)
お前の笑顔がちらついて
一緒に笑うと、楽しくて…
そういったことを
最初に教えてくれたのは、お前だったからな(微笑」
ケイト「!!」
そうイトナは、鞄を持ってから
そう言って
教室から去ろうと、扉へ歩み寄っていた。
イトナ「それに…
そんなお前を、誰よりも誇りに想っていると思うぞ?
お前の両親も祖父母も
長々と自慢話を、寄る度に俺へ山ほど聞かされたからな^^//」
そう言いながら、扉に手をかけて
振り返りざまに
少し照れくさそうに笑って言って
それを聴いて、涙を潤ませた私を見てから…
満足そうに一息ついて扉を閉め、教室から出ていった。
ぽとっ
一つの雫が落ちていった。
ケイト「バカヤロウ…;
そんなら死ぬなよ;
もっと一緒に、生きたかったのに;」
拳を握り締めながら、震えが止まらなかった。
ケイト「もっと一杯…
色んな時を過ごしたかったのに;
もっとたくさん、笑い合いたかったのにっ;;」
海水浴に行ったこと
砂場で父上を埋めていたずらしたこと
母上にいたずらして、土下座で説教を聴かされたこと
祖父と五目並べや囲碁をしたこと
祖母と修業を一緒にしたこと……
数え切れない想い出が溢れてきて…
同時に、一つの感情もまた溢れてきた。
『会いたいよ…』