第7章 コードネームの時間
15秒で4人。
それから後、事態は動き出す。
油断なく、前を見据え
ナイフを逆手に持ったまま、黙って凛とたたずむ姿は…
まさしく、『孤高の戦士』とも思えた。
律が言うには
全身の力をうまく要所要所で伝えながら切り替えているらしい。
人間の体は、力を強く発揮しようとすれば遅く
力を抜いて動かすと早く動ける。
それを要所要所で見極めているのだとか…
それと同様に、木の反動を強めるために
足場にするものを蹴る場合、それに足が当たるまでの間は力を抜いて最速で動かし
その上で、当たった瞬間に力を入れるらしい。
といっても、また入れ方自体にも
他の人たちと全く違っているらしくて…
全身の力を入れ、それを伝達するように
インナーマッスルというか、体幹を通して凝縮するように打っており
その上で、全身の体もまた
一部一部の全てが、それを生かせるように動けているらしい。
だからこそ、跳躍力も
たった一つの動きでさえもなだらかで、半端なく凄いのだとか…
天井(高さ3m)にも楽々張り付けるぐらいだし;
要するに、力の無駄遣いが一切なく
その上に、一点集約まで完璧にこなしているのだそうだ。
左回転しながら、両手で持ったナイフで切り裂いていって
たった5秒しかかからなかった。
された側からすれば、何が何だかわからない。
そんな中、時間はだんだんと進んでいった。
ケイトちゃんもまた、じっとはしていず
撃たれるための囮として
派手に走り回っているのだと解るのに、そう時間はかからなかった。
それと同時に、固まって倒そうとするけれど…
逆に、それを利用されながら一瞬で倒された。
ナイフの成績がいい二人(磯貝と前原)が
ケイトちゃんを挟みこむようにかかっていたけれど
瞬時に体勢を整えながらしゃがみ込み
一瞬で
ふくらはぎから手前へ引き寄せるように蹴ると同時に
その二人ののど元へ、二つしかないナイフを投げた。
それに、即座に木村君が斬りかかったけれど
ケイトちゃんにとっては
それもまた、囮だったらしく…
その二人への蹴りの動きを殺さないまま
右足を木へひっかけてから、右足を曲げることで
自身の体を引き寄せながらかわした直後に
三人(岡島君、速水さん、千葉君)が木村君を倒させまいと
銃を周囲から撃つけれど…