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【イケメン戦国】紫陽花物語

第15章 温泉旅行へ*2日目午前編*




「「おはようございます」」

「ああ」



大広間へ二人が入ると、既に信長が一人お茶を飲みながら寛いでいた。相変わらず朝が早い。家康は、自分の予想が悪い方向に当たっていたことにため息をついた。



「信長様、あの…昨日は、ありがとうございました」

「何のことだ…と言いたい所だが。あまり男の部屋で無防備に寝るな。どうなっても知らんぞ」



そろりと傍に寄った桜に笑う信長。すみません、と謝れば、腕を引かれる。



「ここにいろ」

「は、はい…あっ」



どぎまぎしながら大人しく座る。座りきる前に腰を抱き寄せられて、バランスを保てずに信長の腕の中に納まってしまった。信長の顔が迫る。



「痕は消えたか」



信長の人差し指の背が桜の目元をするりとなぞり、甘い痺れが身体を這って、思わずぴくりと反応してしまう。



「ご、心配、おかけしました…」

「良い」



何とか返事をする桜に、不敵に笑いかける信長。その顔を、呆けたように見ていると。



「いつまでそうしてるんですか」



家康の声が桜の耳元で響いたかと思うと、逆から腰が抱き寄せられて、気付けば今度は家康の腕の中に納まっていた。



「ほう、いい度胸だな家康」

「たとえ信長様でも、引きませんよ」



頭上で弾ける火花を感じて、風呂での決意がすでに砕けそうになる。今の桜は、みじろぎもできないほどすっぽりと家康に抱きしめられているし、逃すまいとした信長に腕を掴まれているし。
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