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【イケメン戦国】紫陽花物語

第12章 温泉旅行へ*1日目昼編*R15



「宿の者に頼んで用意させた。舟の上での飯というのも、なかなかの物だろう」

「はい!」



豪華なお重に目を見張る。この川で釣ったのだろうか、川魚を香ばしく焼き上げたものは丸々入っているし、米は様々な味付けのおにぎりにしてある。煮物や焼き物が他にも所狭しと入っていて、目移りしそうだ。



「美味しそう…」

「好きなだけ食え。…唐辛子も、あるぞ」



かけてやろうか、と指し出された入れ物に、昨日の悪夢がよみがえる。



「いりませんッ」



やっぱり、光秀さんは光秀さんだな。
美味しいご飯に感動しながら、桜は思った。


2人でのんびりと食事を終え、ぽつぽつととりとめのない会話をする。舟は静かに川を進み、満腹と心地よい揺れに、桜の瞼が重くなる。


いけない、せっかく連れてきてもらってるのに。



「桜」

「はい?」



さては、またいじわるかと身構えた桜の身体を、光秀は自分の身体に寄り掛からせる。



「眠たいのなら、眠っていろ」

「えっ…でも」



二重の驚きと、光秀に触れている事への緊張が、桜から眠気を奪ってしまっているが。



「遠慮するな。お子様は、昼寝も仕事の内だろう」



口調こそからかいを含んでいるが、桜の頭を撫でてくれるその所作は、限りなく優しい。



「お子様じゃありません…けど、ありがとうございます」

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