第10章 温泉旅行へ*出立準備編*
「俺が行かなかったら、桜が寂しがる」
「…本人がそう言ったんですか」
「ちょっと、二人ともやめてよ」
頼むから、私を挟まないで!
「仕事には、支障はありません。同行をお許しください」
「好きにしろ」
こっちのにらみ合いを気にも留めずに秀吉さんが信長様にお願いして、あっさりと信長様は引き下がった。
私を助けてはくれないのか…というか、もう無視でいいやこの二人…
「桜様、ご心配をおかけしてしまって申し訳ありません。ですが、私は桜様との温泉を楽しみにしておりますので…」
三成君のエンジェルスマイルが私を見てくる。
私と行くのを楽しみにしてくれてるなんて、嬉しいな…。
「うん、じゃあ一緒に行こうね」
「はい」
「おい、俺を無視して三成と話すとはいい度胸だな」
三成君と笑い合っていたら、横から眉間に皺を寄せた政宗。
え、私会話に参加してたっけ?
「桜、向こうで何をするか決めているか」
信長様がこっちに話を振って来てくれて、政宗が引き下がった。助かった…。
「えと…温泉に入ることくらいしか、考えてなかったです。あとは…散歩とか…」
「あちらは景観が良いらしい。俺が連れて行ってやろう」
「はい、是非」
信長様とお散歩かぁ、ちょっと楽しみ。
「桜、俺もお前と一緒に入る温泉を楽しみにしているぞ」
「は…え?」
光秀さんの言葉に頷こうとして、引っかかった。
温泉に…一緒?