第10章 温泉旅行へ*出立準備編*
私の訝しげな顔がよほどおかしかったのか、喉の奥でひとしきり笑った光秀さんが、こっちを見て衝撃の一言。
「聞いていないのか?混浴だという話だが」
「…ええっ!?」
驚いたのは私だけじゃないみたい。
秀吉さんはお茶を噴き出してるし、
政宗は目が真ん丸になってるし、
家康はお箸落としてるし、
三成君は赤くなってるし。
信長様…は、変わらない態度で笑ってる。
「ほんとに…?」
三秀さんが言うことだから、からかってるだけかも…。
「俺も、そう聞いている」
信長様が言うんだもん、確実な情報みたい。
「じゃあ、みなさんがお休みになった後で入ります」
「それじゃいつになるか分からないだろう。俺が頼んで何とかしてやる」
「秀吉さん…ありがとう」
秀吉さん、本当に頼りになる…。お兄ちゃんみたいだよね。
心からの感謝を込めてお礼を言ったら、照れ臭そうに頷いてくれた。
「ご馳走様でした」
手を合わせて呟いて顔を上げる。
結局、例の煮物は家康にあげました…。
…あれ、皆も食べ終わってるのに、座ったまま。
何となく違和感を感じて、政宗に聞く。
「皆、まだ何かあるの?」
「ただの食休みだ、気にしなくていいぞ」
「ふうん?それなら私、準備もあるし部屋に戻ろうかな」
立ち上がった所で、信長様が私を見た。
「明日は早いぞ、よく寝ておけ」
「はい、おやすみなさい」